製造業や卸売業のように、得意先との取引に継続性がある場合、決算書の売掛金の得意先は、昨年と今年でかなり同じ顔ぶれになっています。
税務署に提出する決算書には、売掛金の内訳書がありますから、昨年と今年を比較してみてみましょう。ちなみに、甲社の売掛金残高は次の表のようになっています。
A物産・B商事・D企画ともに長い取引がある得意先です。C興産は急激に残高が増え、Eセンターは新規の得意先であることがわかります。クレームやトラブル、得意先の資金繰りの悪化等で入金が遅れていることはないでしょうか。また、X産業とY製作所は残高が変化していません。こういう場合金融機関は、1年間あるいはそれ以前から回収されていない可能性があるものとして、不良債権の査定損を計上することがあります。
次に量的な観察です。昨年度末の売掛金は4,821,600円です。月商で割って売上債権回転期間をみると2.38ヶ月でした。今年は、売上こそ昨年対比5%の伸びでしたが、売掛金は3,121,650円も増え、回転期間は3.72ヶ月となりました。これをどうみるのでしょうか。
売上の増加に比較して、売掛金の増加が著しいとき、相当の確率で資金繰りが悪化します。一つは、これから支払う買掛金が増えているケースで、得意先の信用悪化から貸し倒れが起き、当社も資金繰りに行き詰まるケースです。
もう一つは、買掛金が増えていないケースで、この場合は、C興産やEセンターの決算日後の売上が、前倒しに売上計上されている粉飾決算のケースです。売掛金は、このように内訳書から量的あるいは質的に分析することができ、熟練した金融マンは簡単な質問で見破ってしまいます。
◎ポイント
□ 内訳書で売掛金の残高が数年変わらなければ、回収不能として査定される
□ 売上の増加に比べて売掛金の増加が著しいときは要注意