賃貸住宅を事務所としている場合
契約当事者間において居住用に使用するものとして契約した建物の賃借料は、居住用として取り扱いますので、大家さんの方では非課税売上となり、入居者の賃料については事務所として使用した場合であっても、居住用の契約であればその賃料に消費税がかかっていないので課税仕入とすることはできません。
社長の自宅を事務所としている場合
社長の自宅の一部を、社長が代表を務めるA社に貸している場合、その賃貸借契約を事務所用としていれば、貸主である社長の課税売上となり、A社が支払った賃料は課税仕入となります。
多くの場合、社長の賃料は1,000万円未満のため社長の側では免税となるのですが、社長が免税事業者であったとしても、A社の事務所の家賃として課税仕入となります。
なお、社長は不動産所得として確定申告をする必要があります。また、賃料が相場に比して安い場合は税務上の問題はありませんが、賃料が相場に対して高い場合は支払った会社の損金とされない部分が出てくることもありますので、家賃相場を調べて妥当な金額にしておくことがポイントです。
福利厚生の一環として従業員に昼食を提供していますが、消費税と源泉税の扱いはどうなるでしょうか。
1.食事代として現金を支給した場合
金銭給与ですから課税仕入になりませんし、給与と併せて源泉徴収することになります。
2.弁当を支給する場合
業者に支払う弁当の購入費用は課税仕入になります。なお、無償の場合は、現物給与となり源泉徴収しなければなりません。
有償の場合は、従業員から徴収する代金は、課税売上となります。源泉税を免れるためには、従業員から半額以上を徴収し、その全額が税抜きで3,500円以下でなくてはなりません。
3.直営給食施設で支給する場合
直営の給食施設の原価のうち、材料費や水道光熱費は課税仕入となりますが、給料等は課税仕入になりません。
有償の場合は、従業員から徴収する代金は、課税売上となります。源泉税を免れるためには、従業員から半額以上を徴収し、その全額が税抜きで3,500円以下でなくてはなりません。
消費税のみが税務調査の対象となることは、ほとんどありません。しかし、法人税と違い、赤字法人でも消費税は追徴することができますので、調査官の質問が消費税に絡むことが多くなってきています。
特に、課税仕入になるか、ならないかという判定が議論の中心になります。いくつか間違いやすい項目を挙げてみます。
■クレジットカードの手数料(課税仕入にならない)
A社は飲食店ですが、VISAカードを利用した顧客の売上から、5%相当額が差し引かれて入金されます。A社は、この差し引かれた手数料を雑費として計上しています。このクレジットカードの手数料は課税仕入にはなりません。債権の譲渡ですのでクレジットカード会社の側で非課税となり、A社の側では課税仕入になりません。
■海外での工事の外注費(場合により課税仕入になる)
B社は、部品の交換業務を外注先のC社に委託しています。C社は、部品を購入し、山梨県内のC社の事業所において加工し、その取付作業を台湾で行いました。B社はC社の外注費を支払いましたが、その全額を課税仕入としています。なお、C社の航空旅費はB社で支払い、海外の旅費ですので課税仕入にしていませんが、B社がC社に支払った外注費の扱いはどうなるのでしょうか。台湾では、C社は取付作業と検査のため4日間かかっています。
上記は国内取引、海外取引に絡むデリケートな問題ですが、「役務の提供が国内と国外の間において連続して行われるもの」であり、通信用海底ケーブルの敷設工事のように部品の調達・加工を国内において行い、その取付や検査を海外で行っている場合は、国内取引となり外注費の全額を課税仕入としてよいとのことです。
このように、消費税の課税仕入の判定には、相当にデリケートなケースもあります。ホームページ等に事例を挙げて説明していきます。なお、この根拠は、「消費税基本通達5-7-15 役務の提供に係る内外判定」に拠っています。